2度目の韓国 その2・2019年10月ソウル・全州(光化門広場を経て景福宮へ向かう)

移動だけで終わった前日。明けて翌日。

光化門広場へ向かう

東大門広場で朝食後、散歩がてら、光化門広場方面へ徒歩で向かいます。

本当のことを言うと、このときは東大門広場のカルグクス通りでカルグクスセット(6,000ウォン。うどんにミニ冷麺にミニビビンバに……と山ほどセットが付く)を食べてお腹がいっぱい過ぎたのですが、食べ物のことに触れていると話が長くなるのでここでは割愛です。

まずは崇礼門(東大門)が見えてきました。

一度焼けて再建されたものらしいのですが、なかなかの偉容ですね。ソウル中心部は、こんな風に道も広々していて、歴史的建造物を目にすることができるのが楽しいです。

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ところで、ここの交差点で何だかマラソンの格好した人が沢山走ってくるなと思っていたら…

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こちらの広場でイベントをやっていました。マラソン大会?

こちらは美術館のようです。飾りのオブジェが素敵です。

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お洒落でいいな、道路も片側6車線とか5車線とかあって広々しているし、都市計画の面では全然日本ではかなう都市はないな、羨ましいなーと思いながら歩いていました。

光化門広場が近づいてくると、やや不穏な雰囲気で、韓国国旗やアメリカ国旗を置いた屋台(売り物なのか、デモ参加者にボランティアで渡しているのかは判別が付かず)や、デモの人出をあてにしていると思しき食べ物屋、寄付を募る宗教家などがいます。

そう、今日は土曜日。デモ日和。韓国国旗✕アメリカ国旗ということは保守派のデモが予定されているということになります。韓国の保守派は、アメリカとの同盟関係を維持して北朝鮮と対峙しようという考え方ですから。

それらをやり過ごして、次のポイントに到着。

言わずと知れた、秀吉軍を海戦で撃破した忠武公李舜臣将軍の銅像です。

像の前ではなんか歌舞音曲のお稽古してました。朝鮮風の聞いたことがない不思議な音楽。小さい子もいて可愛らしかったです。

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ところで、像を上手く撮影しようとしたのですが、朝なので少し光量が足りないため、この撮影方向では逆光気味になって像が真っ黒に潰れてしまいます。

下の写真のように、像の向かって左下から見上げる角度から撮影するとなんとか。

私が行っていた間、朝鮮半島は本当にお天気が良くて、雲一つありませんでした。

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銅像の足元にはお馴染み、亀甲船のミニチュア版の像もあります。今回韓国に来る前に、李舜臣将軍を主人公にした韓国映画、「バトル・オーシャン 海上決戦」を観てきたので、感慨深いです。

李舜臣将軍像の後ろ、上の写真では左斜め下あたりに、世宗大王の像があります。こちらは光量が足りなくて良い写真が撮れなかったので、代わりに、市庁舎と思われる場所にあった世宗王のプレートを載せておきます。

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世宗王は、ハングルを発明した韓国の人々に敬愛されている偉人です。

ちなみに、韓国人に最も人気がある歴史上の人物といえば、世宗王と李舜臣将軍ということになるそうです

 

世宗大王の銅像を過ぎると、光化門にとうちゃーく。ここまで来ると、団体で記念撮影をしている人々がいて、観光地っぽい雰囲気になってきます。

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しかし、光化門広場に設置されているのが、李舜臣将軍像→世宗大王→光化門(景福宮)であることからは、韓国の人々の確固たる民族愛と誇りが感じられますね。

李舜臣将軍像(外敵である異民族の侵略から民族を守る)→世宗大王(朝鮮文明の根幹をなすハングル(文字)を発明)→景福宮(国)

ということですから。

こういうの日本にないよねーと感慨しきり。

江戸幕府は中央集権国家ではなくて、日本は、明治になってからいきなり中央集権国家のふりをしたけど、日本民族全体の誇り、みたいなの、特にないんじゃない?もしかしたら郷土愛とかそういうのはあるかもしれないけどさー。例えば、鹿児島の人は西郷さんと桜島が大好きだし、大阪の人は(朝鮮半島の人々には評判悪いですが)豊臣秀吉が好きで「太閤はん」とか呼んでたでしょ。関ヶ原の西側では、九州や中国四国地方の人は沢山いても、北関東や東北の人って殆ど見かけないしね。やっぱり日本ってイタリアみたいに小国の塊で、中央集権国家なんて向いてなかったんじゃない?とかね。

 

この日の散策は まだまだ先が長いです(つづく)。

 

 

 

2度目の韓国 その1・2019年10月ソウル・全州

2019年10月18日(金)から2019年10月22日(火)まで、韓国・ソウルと全羅北道の全州(チョンジュ)市に行ってきました。

4泊5日ですが、18日金曜日は夜便で移動しますので、実質、丸3日半の旅行ですね。

今年2019年3月に釜山に行ったものの(韓国に行ってきた その1・2019年3月釜山旅行(移動と釜山の街と食い倒れ) ほか)、全州市は勿論、ソウルも全く初めてです。

観光客の多い全州、土日を避けて21日(月)に日帰りで出かけることにして、あとは大まかにソウルで行きたい場所は考えておいたものの、さて、どうなりますことやら。

 

金曜日、早めに仕事から帰れるように、或いは日本に戻ってきてから苦しまなくて済むように四苦八苦して関係各所への連絡やら用事やらを早いうちに済ませて、飛行機に乗れば、そこからソウル金浦空港までは2時間40分の旅です。今回はLCCじゃなくてフラッグシップなので機内で軽食が出て、軽食が片付けられたらソウルまでは1時間くらいしかありません。

飛行機の右窓側に乗ったので、眼下にソウルが見えてきました。丁度、漢江の南、つまりソウル中心部の南側を東から西に突っ切っていくのです。夜の空から見るソウルはキラキラしていて、とても素敵な場所のようです。

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夜で光量が足りないし、動いている飛行機の中からですから、こんな写真しか撮れませぬ。

預け入れ荷物の受け取りや入国審査、ATMでのお金の引き出しなど一通り済ませると、もう午後11時になろうかという時間です。今回は、釜山で買ったT-Moneyカード(スイカみたいなお金をチャージして、公共交通機関の運賃を支払えるカード)もあるし、SIMは6日間でデータ通信無制限800円くらいのをアマゾンで調達しておき、設定も簡単に終わったので、空港内ではお金を調達すればあとは大丈夫です。

んで、外に出て、空港鉄道(A’REX:Airport Railroad Express)でソウル市内へ。

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ご存じの通り、ソウルといえば巨大hub空港で有名な仁川空港ですが、金浦空港も広くて天井が高く、大変利用しやすい空港です。空港鉄道の料金もソウル駅まで1450ウォン(約130円)と安い。なんて便利なんだ。日本って空港まで行くのも料金が高いですよね。今調べてみたら、羽田空港国際線から東京駅まで470円ですって。3倍近く?乗車時間も22分と28分で殆ど変わらないのにね。羽田空港国際線から品川駅まででも300円。うーんうーん。

空港鉄道の中には、こんな妊婦さん優先席がありました。韓国語以外にも、英語・中国語・日本語でも妊婦さん優先席のアナウンスがありました。見た目でそれとは判らない妊婦さんにも譲ってねって。優しいー。

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ソウル駅でさらに乗り換え、目的の宿にチェックインしたらもう夜の12時近く。

部屋に荷物を置いて、近所を偵察。

金曜日の晩なので、飲んだ帰りの韓国人のおじさんたちが、じゃ~またね~って感じで地下鉄の駅で別れていきます。道ばたでは、飲み足りないのか話し足りないのか、比較的若い韓国人が数人でタバコを吸いながら立ち話していました。あとは中国系の観光客のグループ。それほど危険は感じません。むしろ、金曜日の晩で人が沢山いるので安全な感じがします。

コンビニのビールの棚。ふーむ、やっぱり日本のビールは置いていませんね。

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カップ麺は流石の品揃え。

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荷ほどきをして、シャワーして就寝したら午前2時くらいになってしまいました。

おやすみなさい。

 

釜山旅行のお供によいかも [書評]釜山の人情食堂 港町、ほろ酔い散歩

釜山の人情食堂 港町、ほろ酔い散歩 鄭銀淑(チョン・ウンスク)=著 双葉文庫

2019年3月~4月の釜山旅行(韓国に行ってきた その1・2019年3月釜山旅行(移動と釜山の街と食い倒れ)他)の際、参考にさせて頂いた本(といっても文庫)を紹介します。

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釜山の街の魅力は、歴史的に、ロシア人や日本人がやってきて、また去り、次は朝鮮北部から避難民がやってくる、という激しい人々の行き交いに従って、様々な文化が混じり合い成り立っているという点にあります。

もう一つは、釜山の街が「映画の街」であることで、釜山国際映画祭(BIFF)の開催される地として、或いは数々の映画の舞台となった地として知られています。

2015年時点で、ここ10年の間に公開された商業映画のうち、釜山を舞台とした映画は400本にもなるそうです。映画ロケ地に採用したくなる釜山の街の魅力ですが、釜山の街は空間に独自性があって、

「日の出を撮りたければ海雲台、アメリカ西海岸のような夕日を撮るなら多大浦というように、海山だけではなく、都市としての景観も多彩です。今風の繁華街もあれば、70年代風の路地裏もある。郊外に出れば田舎らしい風景にも事欠きません。ソウルに負けない前衛的な高層ビル群が絵になるセンタムシティやマリンシティもあります。つまり、どんな映画の撮影にも対応できるということですね」(本書74頁)

ということのようです。

本書では、映画好きの著者が、映画をモチーフにして、このような釜山ならではの街の魅力を紹介していきます。

映画やエンターテインメントを通じてその街を紹介するというのは、とても優れた手法であり、芸能大国・韓国を理解する近道の一つなのではないかと考えます。かくいう私が釜山まで旅行しようと思ったのも、2018年の韓国ドラマ「ライフ・オン・マーズ」の主要ロケ地が釜山だったということも一つの動機になっております。あのドラマも1988年にタイムスリップしてしまう設定でしたが、やはり、ドラマに登場する昔風の路地裏や街並み、店舗が印象的でした。

さて、本書で紹介されている映画の中で最も大きな位置を占めているのが、2014年に公開され大ヒットした韓国映画「国際市場で逢いましょう」です。この作品もそうですが、優れた韓国映画は、典型的な韓国庶民像やその歴史の一つを、生き生きと描いて、人々の共感を呼び起こすことに特徴があります(ゆえに大ヒットする)。

だから、図らずも本書でインタビューに応じた元避難民のおじいさんも、

「『国際市場』は観ましたか?」

と尋ねられて、

「あの映画はオレたちのことを描いているんだ。どんな話なのかは誰よりもわかっているから、わざわざ観ることはないさ」

と答えている訳です。(本書137頁)

映画好きの著者は、カメラ片手に街を歩き、市井の人々に対する綿密な取材を行うことによって、釜山の街は、ただの物理的な街ではなく、その街の人々が生きている、あるいは生きてきた様をそのままに想起させることに成功しています。

本書は、映画を主なモチーフとして、釜山ひいては韓国の近・現代史にまで踏み込み、釜山の魅力を十二分に紹介していますので、韓国の歴史には疎い他国育ち、他国生まれ、他国語話者のような私のような者にとっては、韓国の方には当たり前の韓国の歴史を楽しみながら勉強することができるのです。

あっ、勿論、「国際市場で逢いましょう」も観たことないし本書に出てくる他の映画も全く観たことない!という方も心配いりません。

著者は、映画だけではなく、食べるのも飲むのも好きな人のようなので、本書を読むと、まるで、街歩きを楽しんだ後、美味しそうなお店で美味しい韓国料理をつまみにちょっと焼酎を飲んでいるような美味しい気分になれる、というとってもお得な本なのです(美味しそうな料理の写真や、紹介されているお店の所在地や連絡先も載っています)。

ちなみにワタクシも「国際市場で逢いましょう」は観ましたが、この映画、「あの有名人はあのときはこんなだった!」という感じで、ご当地釜山出身の有名人(の設定の役)がさりげなく出演します。これが韓国の方には大ウケなんでしょうが、私はといえば、不勉強で殆どの「有名人」を知りませんでした…。でも大丈夫。映画もすごくお勧めです。日本人がなかなか知ることのできない、韓国の庶民がどのような歴史を生きてきて、どういう思いでいるのかを垣間見ることができます。

この映画を観た日本人は、東方神起のユノ(ユンホ)さん目当てで観に行った方が多かったみたいですが、皆さん映画に感動して帰ってきたようです。ちなみにユンホさんは主人公の回想シーンに登場する、ベトナム戦争下のベトナムで絶体絶命の危機に陥った主人公ドクスを助ける韓国軍の隊長、実は……の役です。

この本には、ただ観光地を回って買物して料理を楽しむ、という普通の観光旅行に留まらない、韓国(釜山)旅行の大きな楽しみ方が示唆されています。これを読んで釜山に旅行すれば、その旅行が印象深いものになるのは間違いないでしょう!文庫本なので旅行にも楽に持っていけます。

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写真は私が撮ったチャガルチ市場の魚屋さんでした。